ハンズオン支援は2年目になる日本クリーン・アップ。初年度、「デジタルは苦手」と言いながら藤森社長が自ら懸命に取り組み、大きな成果を出した。2024年度は高付加価値案件のさらなる新規受注獲得を目指して、新たなデジタル施策に挑んでいる。
※写真 代表取締役 藤森 潔
排水管清掃で30年以上の実績を持つ日本クリーン・アップ。自社の強みを活かした直受け案件の受注拡大を目指し、デジタルマーケティングに取り組んでいる。ハンズオン支援の1年目はWebサイト改修と施工事例コラム執筆によるSEO対策で、閲覧数が大幅に増加。2年目はサイト訪問者がお問い合わせに至る導線を整備し、さらなる新規顧客の獲得を目指す。
■支援1年目の取り組みと成果■
利益率の向上を図り従業員の待遇を改善
当社は長年にわたり排水管洗浄に特化した清掃事業を展開しております。仕事の依頼は多いのですが、二次請け・三次請けが中心で、利益率が低いことと人手不足が課題でした。そこで、エンドユーザーとの直接取引や専門性の高い高付加価値案件の受注を拡大したいと考え、自社でデジタルマーケティングに取り組みましたが、思うような効果が得られず八方塞がりの状況でしたので、2023年度のハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を申請しました。
初年度の目標は「Webサイト経由のお問い合わせを月2~3件から月30件にする」でした。まずはWebサイトの閲覧数向上を目指して、アドバイザーから助言を受けながら、離脱率対策としてWebサイト改修によるUI(ユーザーインターフェース)の改善と、SEO対策として施工事例コラムの強化に取り組みました。また、マンションの管理組合や歯科医院など、特化したターゲット別の専門ページも整備しました。
施工事例コラムの閲覧数増加が受注につながった
サイト改修は2023年度に完了し、施工事例コラムは定期的にアップできるようになりました。そして、Webサイトの閲覧数は以前の約10倍に増加し、お問い合わせも多い月で15件ほどと、目標には届きませんでしたが充分な効果を体感しました。狙い通りマンションの管理組合や歯科医院など、検索からコラムへ流入したエンドユーザーからのお問い合わせが多く、受注にもつながりました。意外なところでは築50年以上のビルを管理する企業からも、設備が古く施工が難しいので実績のある業者を探しているとの問い合わせもありました。
Webサイトのユーザー数は2023年度の改修で飛躍的に多くなった。検索からの流入数が多かったのは施工事例コラムだ。閲覧数が多い情報発信コラムとともに、確度の高い見込み顧客からのお問い合わせを確実に獲得するコンテンツも増やしていく。
■2年目の支援を申し込んだ背景■
2024年度の目標は新規受注のさらなる拡大
初年度の成果を踏まえ、まずはアドバイザーと2024年度の目標を確認しました。引き続き「サイト経由のお問い合わせを月30件」、さらに「付加価値の高い案件との接点を増やし、確実に受注につなげる」ことをゴールに設定しました。
コンテンツ強化により回遊率向上を目指す
目標達成に向けた施策として、アドバイザーからサイト内回遊率の向上を図るプランの提案をいただきました。初年度のサイト改修でコラムからお問い合わせにつなげる仕組みはある程度つくったのですが、実際には未だ離脱率が高い状況です。回遊率の向上には導線改善のほか、より魅力的な情報提供が必要です。検索から流入した訪問者を逃がさないために、最後まで読みたくなるコラムやお客様の悩みに寄り添ったコンテンツを増やし、お問い合わせにつなげていきたいと考えています。
■取り組みの方向性■
お客様の不安に寄り添ったコンテンツの作成
もう一つの回遊率向上策として、訪問者のニーズをより絞り込むためにカスタマージャーニーマップを作成しました。ターゲットユーザーのペルソナを設定し、悩みや行動などを具体的に想像していきます。例えば開業20年目の歯科医院の場合、「最近診察室の排水溝から入り込んでくる下水の臭いが気になっている」をスタートに、「排水管清掃の専門業者に依頼」というゴールまでを想定します。また、悪徳業者の対策に絞ったコンテンツも制作する予定です。
自走体制の整備が課題
今後はGA4(Googleアナリティクス4)を活用して効果を検証し、閲覧数の低いページの改修や、注目ページからのリンク追加といった施策を進めていきます。並行して、築古物件の管理会社に向けたコンテンツも制作予定です。
ハンズオン支援が終了する年度末までには、社内で自走できる体制を整えなければなりません。私は現場に出ていることが多く、現在はコラム作成や効果検証などを経理事務の従業員に頼りきりなのです。私がパソコンに向かう時間を捻出するためにも、施工現場スタッフの新規採用や育成が課題となります。スタッフの採用についても、実はWebサイトが重要なポイントになっていることを実感しています。
Webサイトを改修し、待遇面と労働条件を整備したところ、求人の応募件数が増加。経験者の採用にも成功している。藤森社長が絶対に曲げないのは「人として幸せな働き方」という企業理念。
「プロの知識をお客様目線で提供 顧客理解を今後の施策に活かす」
Webサイトの閲覧数が大幅に増加し、1年目の施策は成功した事例だと思います。コラムでは藤森社長の経験とプロの視点を、社員の方がお客様目線で執筆することで、知りたい情報を分かりやすく提供できています。2年目はサイト訪問者がお問い合わせに至るまでの道筋をつくるフェーズに入ります。藤森社長はお客様や現場のこともよく理解していて、カスタマージャーニー作成の際にはターゲットの解像度の高さに驚きました。その知見を今後の施策に活かしています。
※本記事は、2024年9月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 株式会社日本クリーン・アップ |
所在地 | 世田谷営業所:東京都世田谷区代田1-16-3-101(本社:埼玉県草加市高砂1-11-55) |
設立 | 1990年5月 |
事業内容 | 排水設備維持管理(グリストラップ清掃・排水槽清掃作業・排水管緊急修理・グレーチング・雨水槽清掃) |
資本金 | 1,000万円 |
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