近年では障がい者だけでなく、高齢者にも電動車いすのニーズが潜在的に高まっているという。目指すは「障がい者も高齢者も元気になり、笑顔が満ちあふれる社会に貢献すること」と語る髙橋さん。
創業から30年、利用者に寄り添う革新的な車いすの開発・製作・販売を行う有限会社さいとう工房。高機能電動車いすを介して笑顔あふれる暮らしを届けるため、販路開拓と製品アフターフォローの体制づくりを目的とし、2年目となるハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)でデジタル施策に取り組んでいる。
※写真 営業技術部 取締役部長 髙橋 信哉
■本事業に申し込んだ背景■
多くの方のQOL向上に貢献したい
日常生活のなかの諦めていたことが「やレル」「叶えらレル」、そんな想いから名づけた多機能6輪型電動車いす『レル』『レルミニ』シリーズの製造・卸販売・レンタルが当社の主な事業です。姿勢制御を有しながら「小型・軽量・小回りが利く」当社の製品は、発売以来多くの方にご利用いただいております。しかしながら、認知向上と販路開拓に関する課題も抱えていました。
製品メリットの認知とアフターフォロー体制
高機能電動車いすは高額な製品のため、一般で購入される方のほとんどが障害者総合支援法による補装具支給制度を活用されます。しかし採択までに時間がかかる場合が多く、機能適用も限定的な範囲に留まることがハードルとなっていました。そこで、介護保険利用でのレンタル需要を拡大し、当社の製品を必要な方々にスピーディーに提供したいと考えましたが、介護業界は人的介助の比重が高く、関係者のほとんどが電動車いすのことを知らない状況にありました。また、電動車いすは日々の暮らしを支える必需品だからこそ、全国各地でのきめ細やかなアフターフォローも重要ですので、地域の協力会社との連携強化・体制づくりも課題でした。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
支援2年目、販路開拓の道筋を作る
ハンズオン支援は2年目になります。昨年度は、Webサイトの改修をはじめ、動画やブログによる情報発信を中心にデジタル施策を進めてきました。今年度は「サイト内に協力会社向けの『取扱業者専用ページ』を新設」や「情報発信の継続・強化」、さらにコロナ禍以来、久々に開催される福祉機器の大規模展示会への出展に向けた「展示会での効果的な販路開拓戦略」に取り組みました。
■具体的な販路開拓への取り組み■
取扱業者専用ページの新設で連携強化
協力会社との連携強化の施策として、Webサイトに「取扱業者専用ページ」を新設しました。一般ユーザー向けとはメニューボタンや問い合わせフォームの入口を別にして、専用ページには動画マニュアルやメンテナンス情報、製品・部品注文フォームなどを集約しています。いわばFAQの役割を持たせることで、協力会社が迅速かつ簡単に必要な情報にアクセスできるだけでなく、当社の負担も軽減できると考えました。
展示会成功のための施策
展示会出展の効果を最大化するため、準備段階から展示会後の営業活動まで、各フェーズで施策を展開しました。まず、事前の広報活動として、Webサイトでの告知と併せ、集客促進のためのDM(ダイレクトメール)を送付。DM発送後にWeb解析ツールでの効果測定を行ったところ、DM由来のWebサイトへのアクセス数の増加が確認できました。また、アドバイザーの助言に基づき、展示会当日はいただいた名刺を受注確度別に分けるボックスを用意し、その場で仕分けをして優先すべき見込み客を明確にしました。展示会後には、全来訪者にお礼メールを送付し、特に見込みのある企業には営業が訪問するなど迅速なアプローチを行いました。
■デジタルマーケティングの効果■
商談につながる動きが活発化
定量的な成果はこれからですが、すでに大手の介護用品レンタル企業からお問い合わせを受けるなど、新規獲得や提携につながる動きも出始めています。昨年度からのサイト改修や情報発信、展示会運営などの取り組みが、着実に効果を発揮していると感じています。
リアル×デジタルで得た情報の好循環
昨年に引き続き、ブログ「車いすLabo」やユーザーとの交流の場「レルcommunity」を通して、個人ユーザーに向けた情報発信も継続的に行っています。Webサイトに寄せられた声などを通して新たな課題やニーズを発見し、さらにWeb解析ツールを活用したアクセス状況や顧客データも踏まえ、コンテンツ制作や製品開発、販促活動にフィードバックしています。今後も、アドバイザーとともに推進してきたデジタル施策を基礎として、営業力の強化とネットワークづくりを進め、お客様に安心してご利用いただける環境を整えていきます。
高い技術力と製品力がある企業のデジタル施策と販路開拓をサポート
サイト改修は1年目に続き、2年目は主に協力会社との連携強化ページの新設や展示会の情報発信に取り組みました。Webサイトだけ、展示会だけで完結するのではなく、デジタルとリアル両方の情報を分析することで、新たなニーズの発見や次の施策につなげる流れが築けたと思います。
※本記事は、2023年12月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 有限会社さいとう工房 |
所在地 | 東京都墨田区本所4-26-7 |
設立 | 1994年1月 |
事業内容 | 電動車いすの開発・製造・販売・修理・レンタル、介護保険向けの福祉用具貸与 |
資本金 | 1,000万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。