「トライアンドエラーも全て会社の資産になる」と語る石原取締役。新規顧客獲得を目指しデジタルマーケティングに取り組んでいる。
厚板鋼板のガス切断加工や卸販売を主な事業とする石道鋼板株式会社。長年にわたり取引が続いている主要な顧客があるため売上は安定しており、営業活動はほとんど行っていなかった。石原取締役はそんな現状に危機感を感じ、デジタルマーケティングで新規顧客の獲得に取り組んでいる。
※写真 取締役 石原 佑太
■本事業に申し込んだ背景■
デジタルマーケティングで新規開拓を目指す
当社は、厚板鋼板のガス切断加工の工場として50年余りの歴史があります。売上のほぼ全てを既存顧客から入ってくる受注に頼っており、経営は安定しているのですが、一方で成長は見込めません。経営的なリスクを考えても、既存顧客に依存する体質からの脱却が課題となっていました。ただし、新規顧客開拓に取り組むにしても、当社には営業部門がありません。そこでデジタルマーケティングに挑戦したいと考えました。
支援前から、Webサイトを内製で立ち上げ、見込み顧客をリストアップしてメルマガを送付するなど、独学でさまざまな施策に取り組んできましたが「本当にこれでいいのか」という迷いもありました。ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を受けることで、我々とは異なる視点の提案やアイデアを教えていただけるのではないかと期待して申請しました。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
効果検証して施策をブラッシュアップ
ハンズオン支援を受ける前のことですが、独自に配信リストを作成し、約3か月かけてメルマガを800通ほど送付したことがあります。そのうち約1%が受注につながり、初回のミーティングで、まずはアドバイザーにそのことをお話しました。アドバイザーからは「効果が出たのはターゲットに響いているということ。まずはメルマガをブラッシュアップしていきましょう」という助言をいただき、どんな内容が響いたのか、どうして受注につながったのかなどを深掘りしていきました。
専門家のサポートで営業メールを改善
さらに専門家派遣ではメルマガと営業の専門家によるメール文面の添削とアドバイスをいただきました。印象的だったのは「メルマガの文面はコンパクトで良い」ということ。あれこれ盛り込んだ長いメールを送るより、直感的に理解できる見出しや要点を絞った内容にした方が閲覧率の向上につながることを学びました。実際、添削後は1/2程度の長さになり、非常に分かりやすくなったと思います。そのほかにも、新規顧客の獲得を目的としたメルマガ作成のポイントなどを教えていただきました。
■具体的な販路開拓への取り組み■
Web広告出稿で顧客層の広がりを実感
もう一つ、取り組んだ施策が厚板鋼板加工の新規顧客獲得を目的とするGoogle広告です。将来的な取り組みとして、Web広告を試してみたいとアドバイザーに相談したところ、当社の業種特性にはGoogleのリスティング広告が合うのではないかというご提案をいただきました。実施から1か月余りですので効果検証はこれからですが、すでに個人や個人事業主のお客様など、普段とは明らかに異なる層からのお問い合わせが増え、受注も3件ほど獲得し、確かな手応えを感じています。
全てが自社サイトに「つながる」導線に
メルマガやGoogle広告で顧客接点を増やし、問い合わせフォームに誘導する自社サイトを起点にしたデジタル施策の基盤が徐々に整いつつあります。やはり専門家に相談できる環境があるのはとてもありがたいことです。当社のような小規模事業者がデジタルマーケティングの専門家と話す機会はなかなかありません。マンツーマンでの支援を受けなければ、習得する機会がなかった知見、実践できなかった施策も多く、非常に有意義な経験になっていると思います。
■デジタルマーケティングの効果■
アナログな業界に合わせた営業DXを推進
今後はWebサイトの全面改修とFAX営業を進めていく予定です。サイトリニューアルに際しては必要なコンテンツの要件定義を行い、Googleアナリティクスを活用した閲覧率や顧客の分析にも注力していきたいと考えています。また、FAX営業はメールやWebを好まないお客様に向けたものです。この業界はまだ電話やFAXによるやり取りが頻繁に行われているため、アドバイザーから「FAX営業も行ってデジタルとアナログ両面からアプローチしてみてはどうか」との助言をいただいたのがきっかけです。
目先の利益より「継続成長」を意識
デジタルマーケティングの効果はすぐに現れるものではないことは理解しています。広告やメルマガ施策の効果を検証することによって、貴重なデータを得ることができますし、トライアンドエラーの全てが会社の財産になると考えています。今後も中長期的な視点を意識しながら取り組みを進めていきます。
実践での効果測定を積み重ね、分析データを次に活かすことで着実に前進
石原取締役はとても勉強熱心で、かつ経営ビジョンも明確であり、デジタル施策を着実に実行されています。既存顧客に依存する体質からの脱却を目標に、新規顧客開拓を行っていますが、単に結果を求めるのではなく効果測定のデータを資産として蓄積することが重要という姿勢です。Webサイトの改修やGoogle広告、メルマガの配信、FAXの活用などに取り組み、効果も出始めており成長が期待できる企業です。
※本記事は、2023年12月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 石道鋼板株式会社 |
所在地 | 東京都江戸川区松江4-25-17 |
設立 | 1966年6月 |
事業内容 | 厚板鋼板のガス切断加工・卸売/キャンプ・DIY用の鉄板販売など |
資本金 | 1,000万円 |
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