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小売業

販路は自社ECサイトのみという思い切ったビジネスモデル デジタル施策でコンバージョンの向上目指す

2024/02/22

フェイバニッツ合同会社

大手アパレル企業で婦人服のマーチャンダイジングに携わってきた市勢さん。35年のキャリアを活かし2021年に起業。サステナブルで高品質な日本製メンズニットジャケットの企画・製造・販売を行っている。

40~50代を中心としたミドル世代の男性に向けたニットジャケットを企画・製造・販売する「Favorknits(フェイバニッツ)」。国内生産にこだわった高品質な製品を自社ECサイトのみで販売。コンバージョンの向上を目指し、SNS、SEO、Web広告などのデジタルマーケティング施策に取り組んでいる。

※写真 代表 市勢 善浩

■本事業に申し込んだ背景■

サステナブルで高品質な製品を製造・販売

当社はミドル世代の男性に向けたニットジャケットの企画・製造・販売を手がけています。私は長年にわたり婦人服のマーチャンダイジングに携わってきました。婦人服は競合が多く流行の変化も激しい業界なので、比較的変化の緩やかなメンズ、さらに自分に近いミドル世代が着こなせる服を作りたいと考え起業しました。当社のニットジャケットはパーツごとの形で編み出しているので、生産工程での原料廃棄が全くありません。高品質で耐久性が高く、環境にもやさしいサステナブルな製品です。

店舗を持たず自社ECサイトのみで販売

「実店舗を持たない」「セールを行わない」ビジネスモデルで展開しており、販路は自社のECサイトのみです。SNS広告を活用して売上は徐々に伸びていますが、広告費を抑えながら、さらに購入率を上げたいと考えていました。
公社とは、起業の際に「TOKYO創業ステーション」で事業計画作成などのサポートを受け、「第3回東京シニアビジネスグランプリ」では優秀賞も受賞するなど、日ごろからお付き合いがありました。メルマガでハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を知り、すぐに申請しました。

自社ECサイトのみでの販売となる「Favorknits」のニットジャケット。大手ECモールへの出店は行わず、アパレル業界でお馴染みのセールも実施しない思い切ったビジネスモデル。

■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■

目指したのはCVR向上と広告費削減

2023年5月からハンズオン支援がスタートしました。担当アドバイザーに最初に相談したのは「CVR(コンバージョンレート)の向上」「広告費の費用対効果の向上」「GA4(Googleアナリティクス4)移行の際の設定方法」「リスティング広告」などです。アドバイザーからは、まず「CVRを向上させるための施策として、ECサイト内にブログコンテンツを設置」のご提案をいただきました。見込み顧客に有益な情報を発信することでサイトへの流入を増やし、購買につなげるのが狙いです。併せて動画の制作にも取り組むことにしました。

専門家派遣で知識を習得

また、専門家派遣ではSNS広告制作に使用するCanva(デザイン制作ツール)の使い方、そして海外販路開拓について学びました。海外への卸販売展開でも、デジタルマーケティングは必須ですので、アドバイザーや専門家の力を借りて、今のうちに土台を固めていきます。

■具体的な販路開拓への取り組み■

SEO対策で検索からの流入が増加

ECサイトのブログコンテンツ作成では、SEOを意識したニットジャケットについての情報発信に取り組みました。掲載後、アクセス解析ツール(GA4とGoogleサーチコンソール)の使い方を教えていただきながら解析すると、以前はブランド名「フェイバニッツ」での検索が多かったのですが、最近は「ニットジャケット」などブランド名以外でのキーワード検索も増えていることが分かりました。ブランドを知らない方にも製品を見てもらうチャンスが増えているのは成果と言えます。今後も地道にブログ記事の作成に取り組んでいく予定です。

リスティング広告のキーワード選びが課題

SNSではターゲットの属性を絞った広告が効果を上げています。ファッションアイテムなので、ビジュアルが先行する媒体が合っているのかもしれません。また、今回のハンズオン支援でリスティング広告やP-MAXなどのWeb広告の運用も開始しました。現在、アドバイザーと一緒に各キーワードのデータを解析しながら、「ニットジャケット」以外の効果的なキーワードを検討しています。

市販のニットジャケットはニット生地を裁断して作るものが多い。「Favorknits」は高度な技術を用いてパーツの形で編み上げる。裁断廃棄が出ないだけでなく、ファッション性が高く、着心地も良い。

■デジタルマーケティングの効果■

広告運用とコンテンツ追加が今後の課題

支援が終了する2024年2月までには、Web広告を実施したことによる受注の獲得を目指しています。Web広告経由でコンバージョンが獲得できればそのぶん機械学習が進むため、その後の効果も期待できます。今後は動画制作にも挑戦し、さらに文章の作成などにChatGPTを活用してブログ記事も増やしていきたいと考えています。同時に、ハンズオン支援が終了した後も自分一人で各施策に取り組めるよう準備を行っていきます。

世界に誇る日本発のブランドに

デジタルマーケティングで売上を伸ばし、将来的には日本発ニットジャケットのラグジュアリーブランドとして海外の販路を確立したいと考えています。会社員時代は低コストを求めてさまざまな海外工場に製造を依頼していましたが、やはり国内工場のクオリティには及びません。児島のジーンズや尾州のウールのように、日本の技術力を世界に発信できるブランドに育てていきたいと思います。

効果の分析力と地道な取り組みにより自社ECサイトの売上拡大に成功

デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム
アドバイザー 石井 里幸

市勢さんはマーチャンダイザーとしてのキャリアが長くデジタル施策のデータ分析が得意です。さらにInstagramでは毎日更新を徹底されるなど、地道な努力もできる方だと感じています。アパレルに限ったことではありませんが、一般的に自社ECサイトで集客することは難しいものです。だからこそ多くの企業が大手ECモールに出店をしているわけですが、フェイバニッツさんは自社ECサイトだけで売上を伸ばしており、とても感心しています。BtoBの海外展開など、まだ重要なタスクが残っていますのでしっかり伴走していきます。

※本記事は、2023年12月時点の情報です。

企業情報

企業名フェイバニッツ合同会社
所在地東京都荒川区東日暮里6-42-1 壮光舎日暮里ビル2F
設立2021年3月
事業内容メンズファッションアイテム(ニットジャケット)の企画・製造・販売

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。