Q 貴社の事業について教えてください。
A
当社はNPSアンケート分析とテキストマイニングの機能を併せ持つクラウド型システム「M-ONE」の開発・販売、並びにそのデータ分析結果を利用したコンサルティングを提供しています。「M-ONE」はホテルや自動車メーカー、コールセンターなど30社ほどに導入実績があります。
受注に関しては、設立当初は立ち上げメンバーの人脈から獲得していましたが、大手企業との取引実績ができてからは、Webサイト経由でのお問い合わせもいただくようになりました。また、ホテル業界に特化したセミナーにも登壇し、参加した企業から受注することもあります。
※写真 代表取締役社長 望月 俊成
Q デジタルマーケティングへの取り組みは、いつ頃から開始されましたか?
A
自社サイトは設立当初からありましたが、企業情報とお問い合わせフォームがあるだけのシンプルなもので、サイト経由のお問い合わせは月に1件ほどでした。
2018年にWebサイトを改修し、コンテンツを増やしてSEO対策を施したことにより、お問い合わせの件数は多少増えましたが、期待したほどではありませんでした。サイトの制作は外部に委託し、運用の担当は社員1名。人的リソースの不足も感じていました。デジタルマーケティングの有用性は感じていたものの、まだ全面的に舵を切るには至りませんでした。
しかし2020年からのコロナ禍で、主要顧客だったホテル業界が一気に厳しくなりました。対面営業もできなくなり、セミナーもリアル開催からオンラインに移行せざるを得なくなりました。そして、デジタルマーケティングの重要性を改めて強く感じるようになりました。
Q 公社に相談した経緯と内容を教えてください。
A
2021年に経済産業省の事業再構築補助金を申請し、支援を受けて2022年3月にWebサイトの改修を開始しました。他にも利用できる公的支援制度がないかを探していた時に、公社のオンライン活用型販路開拓支援事業を知りました。専門家から無料でアドバイスをいただけるなら、デジタルマーケティングをさらに強化できると考え、すぐに応募し、6月からハンズオン支援がスタートしました。
Q 専任アドバイザーによるハンズオン支援は、どのようなものでしたか?
A
まずは現状の分析からスタートしました。SEO対策はすでに強化していたため、特段の改善は不要とのことでしたが、サイトへの流入からリード獲得までの動線について問題を指摘されました。NPSの解説や重要性を周知するコンテンツは充実していたのですが、お問い合わせページや資料ダウンロードページの階層が深く、途中で離脱する閲覧者が多かったのです。また、主力商品の「M-ONE」を前面に押し出していないことも指摘を受けました。
Q アドバイスによるデジタルマーケティングの取り組みについて教えてください。
A
マーケティングとWebサイト運用を担当していた社員が中心となり、アドバイザーからの指摘事項を参考にしながら改善に取り組みました。ちょうど「M-ONE」の新バージョンをリリースしたこともあり、競合他社に負けない機能やエビデンスを前面に配し、資料ダウンロードやお問い合わせまでの導線も改善して、興味を持った方がアクセスしやすいように工夫をしました。
資料のダウンロード数を増やすことを狙いとして、NPSの説明から一歩踏み込んだ、お客様の困りごとへのソリューションを掲載したコンテンツも新たに制作しました。併せて、NPS調査の導入を考える企業が必ず悩むポイントとその解決策を掲載したダウンロード用の資料も作成し、NPSを理解した上で「M-ONE」に興味が湧くように導線づくりを行いました。
Q デジタルマーケティングの成果を教えてください。
A
Webサイトの改修はまだ完全には終わっていませんが、すでにお問い合わせの件数は2倍ほどになり、資料のダウンロード数も格段に増加しました。
お問い合わせの数だけでなく、お問い合わせの質も変わりました。以前は「NPSについて知りたい」「NPS調査に興味があるが、何から始めたら良いのか分からない」という内容が大半でしたが、現在はコンテンツを見てNPSに関する理解を深めた上で、「M-ONE」や当社のソリューションに興味を持ってお問い合わせいただく方が増えています。いわゆる「そのうち客」が「今すぐ客」に育った状況で商談ができ、クロージングまでのプロセスが短縮化されたことが大きな成果だと感じています。
Q 今後の展開について教えてください
A
当社の「M-ONE」は、NPSへの理解が深まり効果への確信がないとなかなか導入にまで至りません。そのため、商品説明の前に、まずはNPSについて分かりやすく解説することが重要だと考えています。Webサイトのコンテンツも、初級・中級・上級に分け、NPSの必要性を十分に理解していただいてからご相談いただくような流れを作っています。コンテンツの中で、お客様を教育するようなイメージです。
日本企業におけるNPSの捉え方は、発祥の地であるアメリカに比べて大きく立ち遅れています。アメリカでは、既に短期的な売上よりもカスタマーロイヤリティを重視し、サステナブルな成長を目指す企業が増えています。Webコンテンツやセミナーなどで日本企業を啓蒙し、「日本のNPSならマーキットワン」と言われる存在を目指したいと考えています。
「顧客満足度(CS)よりも収益性との関連性が高いNPSは今後ますます重要になると思います。当社の知見で日本企業を啓蒙していきます。」
企業情報
企業名 | マーキットワン株式会社 |
所在地 | 東京都千代田区九段北1-15-2 九段坂パークビル5F |
設立 | 2016年4月 |
事業内容 | AI搭載テキストマイニング機能付きNPS分析ツール「M-ONE」の開発・販売/マーケティングリサーチの提供/ほか |
資本金 | 2000万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません