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事例集06:利用者の裾野を広げ、協力会社との連携を目指しサイト設計に取り組む

2023/03/31

有限会社さいとう工房

Q 貴社の事業について教えてください。

A

主な事業は、多機能電動車椅子「レル・シリーズ」の製造・販売・レンタルです。創業当初は身体に障がいをお持ちの方に向けた福祉用具の製作や、電動車椅子を輸入、改造、販売する事業を行っていました。

以前の電動車椅子には北欧やアメリカ製が多く、大きな身体や住宅に合わせた製品でした。そこで生まれたのが、日本仕様の軽量で回転径の小さい当社の電動車椅子です。使いやすく機能も充実しており多くの方にご利用いただいています。

※写真 経営企画システム部 田上 義弘

Q デジタルマーケティングの必要性を感じた経緯について教えてください。

A

高精度・高機能な製品のため、以前から多数のお問い合わせをいただいていました。高額な製品でもありますので、ほとんどの方が身障法による補装具支給制度を活用されるのですが、申請から採択されるまでには時間がかかる上、障がいの程度によって搭載が許可される機能も限定的です。実際に販売まで至るのは、お問い合わせ数の半分ほどでした。

また、遠方のお客様のアフターケアは、地方の協力会社に任せたいのですが、信頼できる企業との接点構築が難しい状況でした。そこで、インターネットを活用して地方の企業様と連携できないかと考えたのです。

さらに、「不自由を感じていた家事や外出が楽しくなるような電動車椅子があると聞いたが、詳しく知りたい」という健常高齢者からのご相談が増えていることもあります。当社はこれまで身障者とそのご家族へのアプローチが中心でした。これからは、生活の質を高めたい高齢者にも当社製品の認知度を高める必要があり、そのためにもデジタルマーケティングが有効なのではないかと思いました。

小回りが利いて段差にも強い、小径6輪型の電動車椅子。諦めていたことが「やレル」、願いが「叶えらレル」というところから「レル・シリーズ」と名付けられた。

Q 公社に相談した経緯と内容を教えてください。

A

自社WebサイトとYouTubeチャンネル、Facebookのアカウントはありましたが、戦略的なアプローチには手を付けていませんでした。2022年から、外部に委託してWebサイトの改修をスタートしたものの、順調とは言えない状況でした。

ちょうどその頃、私が公社の経営変革のスクールを受講していた関係で、オンライン活用型販路開拓支援事業を知り、すぐに相談しました。主な相談内容は、新たなターゲットとなる高齢者に当社の高機能電動車椅子を知っていただく方法と、メンテナンスサポートを担う地方の業者様と連携する方法の二つでした。

Q 専任アドバイザーによるハンズオン支援は、どのようなものでしたか?

A

まずは、現状と課題をアドバイザーに整理していただきました。当時の大きな課題は、Webサイトの同一コンテンツ内に、異なるターゲットへのアプローチ情報が混在していたことです。一般ユーザーに向けたコンテンツと、提携会社に向けたコンテンツをそれぞれ設け、トップページで入口を分けるべきと指摘されました。

さらに一般ユーザー向けには、製品の機能紹介だけでなく、QOL(Quality of life:生活の質)との関連性をアピールすることで、多くの方の興味を喚起することが大切との助言をいただきました。

対して提携会社向けには、障がいをお持ちの方や高齢者をサポートする志、およびメンテナンスに携わるポテンシャルを持つ会社と出会えるように、いわばハードルを上げるコンテンツが必要とのアドバイスをいただきました。

アドバイザー(一番左)とミーティングを行うデジタルマーケティング担当の主要メンバー。

Q デジタルマーケティングへの取り組みについて教えてください。

A

早速、Webサイトの構成変更に取りかかり、アドバイスに基づきトップページで提携業者向けと一般ユーザー向けのページに分けました。

提携業者向けのページには任せたい業務やメンテナンス方法など、業者への期待値を伝えるコンテンツを掲載しました。技術力を持ち、さらに意欲の高い業者からのお問い合わせにつなげる狙いです。

一般ユーザー向けのコンテンツには高機能車椅子を利用することで「生活がどう変わるか、何が便利になるか」を身障者とアクティブシニアに分けて掲載し、カタログ的な製品説明ではなく、使用していただく利用者の視点に立った記事を掲載しました。

動画は既に制作したものをベースに見せ方や切り口を変えました。以前は製品の機能面や会社概要にウェイトを置いていたのですが、利用者目線で使用シーンを分かりやすく伝えられるよう工夫しました。

Facebookは2014年から運用していますが、投稿は代表のみで、代表の個人アカウントのようになっていました。ただし、フォロワーは相当数いるためアカウントはそのまま使用し、今後は当社のニュースなどを積極的に発信していく予定です。

納品する電動車椅子は利用者に合わせ、装備の調整、オプションの装着などを行う。同社は、国内外の福祉団体や学生などの仲間が集まる「レルcommunity」も運営する。

Q 今後の展開について教えてください

A

Webサイトの改修は近く完了する予定です。できるだけ早く公開してコンテンツの継続的な拡充に着手したいです。その後はお問い合わせの内容をデータベース化し、アプローチする顧客層や今後の製品開発に向けたニーズの把握に役立てたいと考えています。協力会社との提携に関しては、動画でメンテナンス方法や消耗品の交換方法を解説するほか、研修も実施するなど、技術力の向上に取り組んでいく計画です。

創業以来ずっと身障者をターゲットにしてきたので、アクティブシニアの生活についてはまだまだナレッジが足りません。デジタルマーケティングでユーザーの声を集め、使い勝手を改善していきたいですね。

企業情報

企業名有限会社さいとう工房
所在地東京都墨田区本所4-26-7
設立創業1994年1月(会社設立は2000年6月)
事業内容電動車椅子の開発・製造・販売・修理・レンタル、介護保険向けの福祉用具貸与
資本金1000万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません