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製造業

事例集07:オンライン受注の増加が顕著です。小さな町工場も知恵を絞ればやれます

2021/03/29

株式会社星製作所

Q 事業の内容を詳しく教えてください

A

弊社は、タッチパネルの筐体から発電所内の非常放送設備の金属部品まで、多岐にわたる産業機器向けの板金部品を製造しています。

父から事業を継承して暫くは「小さな工場が生き残っていくためには何が必要なのか」そればかり考えていました。一般的な板金加工だけに頼っていては先細りしていくことだけは確かです。そこで思いついたのがWEBを活用した新規客の獲得です。しかし、「星製作所」という名称でホームページを立ち上げてもおそらく目に留まることはないと思いました。そこで2009年に、自社の強みを活かすマーケティング的な手法を取り入れて「板金ケース.com」というネーミングの板金筐体に特化するホームページを立ち上げました。打ち出したキャッチコピーは「自由自在 1個からセミオーダー」です。
それから3年ほどは低迷していましたが、展示会での販促活動などが奏効しネーミングが浸透していったことで「板金ケース.com」からの受注が増え始め、リピーターとなる顧客も多くなり事業の柱のひとつになっていきました。

株式会社星製作所 代表取締役 星 肇

その後、新たに個人の集客を狙った「自作ケース.com」、さらに板金加工に設計というサービスをプラスした「筐体設計.com」を立ち上げました。実は、以前から設計のニーズはあったのですが、自社に技術がなく、話があってもお断りしていました。そこで三次元CADを導入し、工場長とともにトライアルを重ねながら、自社内で設計も手掛けるようになったのです。これによって板金加工品を一貫生産できる仕組みを整えました。

※写真 代表取締役 星 肇

クリーンな工場内には先進のマシンが揃う。
マーケティングの視点から新規客獲得のために作った「板金ケース.com」。

Q コロナ禍の影響はありましたか

A

さまざまな業種・業界が大きな影響を受けていますが、弊社の場合、3つの「.com」からの受注は好調でそもそも受注後の打合せなどもメールか電話ですので、緊急事態宣言のなかでも影響はありませんでした。また、継続的に受注している顧客からの板金加工も、早い時期に打ち合わせなどを対面からオンライン会議に切り替えましたので、作業はスムーズに進んでいました。弊社の事業構成は一般的な板金加工と「.com」の2本柱ですが、そのうちの「.com」で取り引きしている会社の数は100社以上あり、業種も多岐にわたっていたことが功を奏したと考えられます。

代表取締役 星 肇

Q 公社のオンライン販路開拓事業ではどのようなサポートを受けられたのですか

A

オンラインを活用した集客という手法において、10年以上も前から3つの「.com」に取り組んでいる弊社は、小さな町工場の中では「オンライン活用のトップランナーである」という自負があります。しかし最近ではコンペティターも多く、追いつかれ埋もれないために、常に新しい知識や知見を取り入れてチャレンジしていこうという思いから公社のサポートを受けました。順調なときこそ、次の準備が必要です。

「板金ケース.com」と「筐体設計.com」については順調に成果が出ていますが、ターゲットを変更したこともあって狙いどおりの集客ができていない「自作ケース.com」の再構築についてアドバイザーの方に相談しました。

担当のアドバイザーは、熱心にヒヤリングを重ねてくださり、「自作ケース.com」については「すべてがあやふやなので、価格提示、加工例や設計例などをはっきり提示したほうが良い」などの助言をいただき、自分たちでは分からなかった貴重な「気づき」を得ることができました。まずは、グーグルアナリティクスを利用して分析を行い、リスティング広告にもトライしていく計画です。

Q オンライン販路開拓の今後の予定を教えてください

A

「.com」からのお客様は、IoTやAIなど新しい産業の方々が多いのが特徴です。働き方が変わっていくことで、これまでとは違うシステムや通信が必要になっており、今後はIoTやAI関連企業からの受注が増加していくことが見込まれます。たとえば、5Gはインフラ整備が始まり、それに対応するさまざまな動きが出てくる新しい市場です。設計者を増員して、より付加価値の高い製品作りを目指します。

また、ホームページ管理者の増員も考えており、受注や問い合わせに迅速に対応し、特に今回のオンライン販路開拓で学んだ情報発信力をパワーアップしていきます。私は、ホームページやYouTube動画の閲覧者数はそれほど気にしていません。分母が少なくても本当に必要な人が見れば良いのです。それには「自分たちはこんなことが得意なんだ」ということを明確に伝える情報発信力が問われます。付加価値を上手に訴求すればより収益性の高い仕事につながっていくはずです。今後もオンライン販路開拓に取り組んでいきます。

従業員のコメント

動画の配信も積極的に行っていきたい

今回の取り組みでは動画作成のサポートもしていただきました。弊社の強みである「設計から製造を通じて顧客の課題や悩みを解決できる」という付加価値が伝わる仕上がりになっておりとても勉強になりました。今後は動画も積極的に活用していきたいと思います。

工場長 鈴木 道人さん

企業情報

企業名株式会社星製作所
所在地八王子市美山町2161-15
ホームページURLhttp://hoshi-ss.co.jp/
設立1984年
事業内容産業機器向け精密板金部品の設計、製造
資本金500万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません