Q 創業からの変遷を教えてください
A
洋傘に使う金属部品の製造が弊社のルーツになります。創業は1930年です。石突きのような円筒形の金属部品は、金属の板に圧力を加えて引き伸ばす「絞り加工」というプレス加工技術を使って生産します。絞る深さを直径より長い形状に仕上げるものを「深絞り加工」と呼んでおり、しわや割れを発生させない最適条件を設定することが簡単ではないことからノウハウが必要になります。この深絞り加工の技術を活かして、醤油挿しなどのキャップ、文房具、化粧品など、日常生活で使うさまざまな金属部品にまで守備範囲を広げ事業を拡大してきました。
さらに近年は、ロボットシステムや自動組立機、検査装置、加工装置、搬送装置などの工業用自働化システムの一貫製造を行っています。顧客は、自動車、電気電子、医薬、航空宇宙分野などを扱う大手企業や公共機関になります。
※写真 代表取締役 中瀬 勲
Q コロナ禍の影響は大きいですか
A
それまで、完成した機械の稼働チェックは、メーカーの生産技術、保全、製造の各部門の担当者に足を運んでいただき立ち会いのもとで行っていたのですが、昨年3月には来社が難しい状況になりました。そのころからオンラインでの立ち合い検査が一般的になり、オンライン会議も当たり前のことになっていきましたが、ついに新規の案件はゼロになってしまいました。
こんな出来事もありました。緊急事態宣言が発出されいよいよ外出できなくなって、事務所の掃除をしていた時のこと、創業者が70年前に掲げた看板を見つけたのです。家族総出で汚れを落とし磨くと、何とも良い雰囲気に仕上がりましたので再出発の象徴として家族で工場の入口に掲げたことを印象的に憶えています。
夏ごろになって感染対策をすれば対面営業ができるようになってからはスムーズに話が進み、業績も徐々に回復していきました。やはり会って話すことも大切なのです。ただし、オンラインでの立ち合い検査や打合せの便利さも感じておりました。移動がないので時間を有効に使え、場所にも縛られないため海外の顧客とも気軽に打ち合わせができます。何より交通費の大幅な削減は理屈抜きに助かります。コロナ禍が収束しても、オンラインを使いながら、対面営業と上手に組み合わせていきたいと考えております。
Q オンライン販路開拓の取り組みについて教えてください
A
弊社はこれまで対面営業しか行ってきませんでした。ですから、外出や移動ができなくなると死活問題にまでなってしまいます。以前から何となく考えてはいたのですが、日々の仕事に追われオンラインへの取り組みが遅れてしまっていたことは事実で、コロナ禍は私に変化の機会を与えてくれたのだと考えています。実は従来のホームページも、私が15年以上も前に作り放置したままの状態でした。今回、公社のサポートによりオンライン販路開拓に取り組む機会に恵まれたことはとても良かったです。
ただし、弊社の強みである「多岐にわたる業種のモノづくりに合わせた専用の機械を高い技術力で作り上げる」という点を訴求することは決めたものの、それをどのようにホームページに落とし込んでいけば良いのかが分かりません。具体的な構成やデザインも靄がかかっているような感じではっきりと見えていない状態でした。アドバイザーの方にそのことを話すと、まずは弊社の強みや製品、沿革、理念、お客様からの評価などをカテゴリーに分けて整理すると見えてくるとの助言をもらい、表現方法まで教えていただき、さらにミーティングを重ねることによって新しいホームページが少しずつ形になっていきました。それはまるで目の前の靄が晴れていくような感覚でした。
Q 今後もオンラインへの取り組みを推進していきますか
A
リニューアルしたホームページには、新規の問い合わせや受注機会が増えていくことを期待していますが、それには時間がかかると思っています。実は期待していることがもうひとつあるのです。それは人材の採用です。新卒でも中途でも就職活動を行っている人は、応募先を決める際に必ず当該企業のホームページをチェックします。新生ホームページによって良い人材を獲得できればひとつの目標は達成したことになります。コロナ禍が収束してもオンライン活用の取り組みは続けていきます。
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企業情報
企業名 | 河政工業株式会社 |
所在地 | 葛飾区東四つ木1-22-19 |
ホームページURL | http://www.kawamasa-industry.co.jp/ |
設立 | 1930年 |
事業内容 | 創業からの主な事業は、深絞り技術を生かした金属プレス製品の製造。製造品目は、洋傘部品に始まり、化粧品、文具、印章部品、デジタルカメラ、食品など多岐にわたる。近年では、現社長の主導のもと、新たにエンジニアリング事業を立上げ、工場に適した専用の自動省力装置を企画・設計・製作を行っている |
資本金 | 1,500万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません