Q 事業の柱を教えてください
A
弊社は工業用トレーのほか、洋菓子用トレーなど、同じ形状のものを大量かつ均一に加工して生産するために必要な金型を作っています。最新の3D CAD、3Dスキャナーを用いたモデル図面作成や設備、それを操る経験豊富な技術者たちによってこれまで2万件以上の金型設計・製作を行ってきました。また、業界でも貴重な木型の職人が在籍しており、手彫りの木型も製造しています。
特に真空成形を得意にしており、自社内で設計から製造まで一貫生産できること、さらに少ロットのトレー成形にも対応できることが弊社の強みです。リーマンショックなどを乗り越え、業績は右肩上がり傾向にありました。
※写真 代表取締役 青沼 隆宏
Q コロナ禍の影響は大きかったですか
A
売上高が前年同月比で60%減にまで落ち込む月があるほどでした。原因はギフト商品で使われるパッケージやトレーの製造がほとんど止まったことにあります。たとえばギフト商品では、例年大きな収益となるバレンタインデーとホワイトデーにおける次年に向けての企画がすべて止まりました。また、テーマパークの休園や外国人観光客が日本から消えた影響により土産物がまったく売れなくなったことも大きいです。
Q 報道された自社製フェイスシールドの件を教えてください
A
コロナ禍との長期戦を覚悟するなか、「入手できずに困っている」とTVなどの報道で知ったのがフェイスシールドでした。現物を検証してみましたが、設計や製造はそれほど難しいものではなかったので2万枚を生産して医療と介護に携わる方、手話通訳者、教師を対象に無償配布することにしました。社員も「困っている人の役に立つのなら」と積極的に協力してくれたのです。その後、新聞やTVが取り上げてくださったおかげで、海外からも多くの問い合わせをいただき、当初の予定枚数を2倍の数に増やして対応しました。
Q どんなことがオンライン活用のきっかけになったのですか
A
フェイスシールドを無償で配布した取り組みを多くのメディアに取り上げてもらえたのは、広報を任せている在京テレビ局に在籍していた経験を持つ友人が戦略的に情報を発信してくれたからでした。そのことで「情報発信」の重要性を学び、継続的に取り組むならホームページが有効と考えたのです。
フェイスシールドは7月から有償での販売に切り替えました。メディアに取り上げてもらっていた7月は売れても、情報が出なくなった8月になるとまったく売れなくなりました。情報発信を続ける大切さを実体験できたのです。そこで、9月にリスティング(検索連動型広告)にトライしてみたところ、効果はあるけれど広告にかけるコストが多額で結局は赤字になってしまいました。まさにトライ・アンド・エラーの連続でしたが、その経験がオンライン活用を続けていく源泉となったのです。
Q 公社のサポートは役立ちましたか
A
情報発信を試しているタイミングでオンライン販路開拓のサポートを受けられる機会に恵まれました。アドバイザーの方には、オンラインでの新規客獲得について基本的なことから筋道を立てて教えていただき、リスティングの構成やランディングページの役割、届いた問い合わせの活用法など、全体の流れからそれぞれのポイントを抽出してわかりやすく解説していただきました。多くの気づきを得ることができてとても勉強になりました。
Q 今後はオンラインをどのように活用していくつもりですか
A
実は数年前から、オンラインを活用することによって社員が場所や時間の縛りから解放され、もっと自由に仕事ができるようにならないかを模索していたのです。昨今、顧客もテレワークが増えておりオンラインでの打ち合わせが当たり前になっています。ですから弊社の営業担当も会社に居る必要がなくなっているのです。テレワークなどオンライン化の流れはコロナ禍が収束しても止まらないと思います。弊社は製造業です。工場で働く従業員はもちろん出勤する必要があります。ただし、現場の作業もシフト制を導入して、さらに効率化していけば週休3日制が成り立つと考えています。
ホームページから来たお客様はデータベース化が可能になります。その情報をフォーマット化して可視化すれば、全社員で組織的な顧客対応ができるはずです。もう属人的な営業のノウハウに頼る必要はありません。重要なのはオンライン販路開拓の仕組みを構築することです。ただし、製造業では「品質の良さ」が求められるのは不変です。
従業員のコメント
テレワークはライフスタイルを一変させます
弊社ではコロナ禍前からオンライン会議などの試みを行っていたことから、スムーズに本格導入できました。場所や時間に縛られないためやはり便利で、コロナ禍が収束しても活用していくつもりです。また、無駄な通勤時間から解放されるテレワークも良い取り組みだと思っています。
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企業情報
企業名 | 株式会社城南村田 |
所在地 | 大田区蒲田本町1-9-7 |
ホームページURL | https://www.jonan-murata.jp/ |
設立 | 1965年 |
事業内容 | 真空成形金型製造、トレー成形、ソフビフィギュア企画製造、フェイスシールド製造 |
資本金 | 4,000万円 |
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